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2年前のウォークマンSシリーズと音質比較

ウォークマンZX1が発売されてから1週間以上が過ぎましたが、現在でも各店舗で品薄または品切れ状況が続いているようです。今までのソニーのウォークマンとは音質に関しての力の入れようが違うといったことが徐々に各店舗で試せるようになってきて消費者の方にも実感できる状態になってきたことが大きいのかなと思います。7万円以上もする本製品が売れまくりというのはちょっとソニーも想定していなかったでしょうけれども...。

というわけで、今回は前回の開封&ファーストインプレ的レビューではなくこのウォークマンZX1の音質について迫っていきたいと思います。本当はXシリーズかZシリーズが用意できればよかったのですが管理人所持している他のウォークマンは2年前のSシリーズとCDウォークマンしかないので2年前のウォークマンSシリーズと比較します。

続きは以下からどうぞ。

ハイレゾについておさらい

2013年からソニーの音響関連製品にハイレゾ対応を現すマークが登場しました。

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このマークなのですが、ハイレゾは何かすごそうだけど実際の所どこが良いのか分からないといった方が多いと思います。実際ソニーは昔販売していたPDA「クリエ」に

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こんなハイレゾ(ハイレゾリューション)マークを付けていたこともありました。勿論今のハイレゾとはほぼ無関係(解像度が高いという意味では変わりありません)です。こちらのクリエのマークにあるように、ハイレゾとは高解像度を現すハイレゾリューションの略です。現在までのCD(CD-DA:Compact Disc Digital Audio規格)以上の音全般に関してハイレゾリューションと現すことができます。

今になってハイレゾがものすごく注目されるようになりましたが、CD以上の音というものは昔からSuper-Audio CDや、DVD-Audio、Blu-ray Audioによって実現していました。しかしそれ相応の機材が必要で、気軽に楽しむことができるといったものではありませんでした。現在のBlu-ray discは最も身近にハイレゾ音質を楽しむことができるディスク媒体と言えます。

現在でのハイレゾについては単にCD以上に高音質な音楽のことを指しますが、ソニーが普及させようとしているハイレゾ環境は「音」「環境」「機材」「流通」この4つすべての機能を昔のように高価な機材をそろえなくても、PCと組み合わせて実現できるようになったいわば次世代のハイレゾに関するエコシステムのことを言います。

現在の多くのPCには「○○ HD Audio Device」といったサウンドインターフェース(サウンドカード)が搭載されていて、このHDの部分はHigh Definitionと読むことができ、ハイレゾ音源をそのまま再生できる能力を保持していることを示します。ただし実際には規格上再生できてもハイレゾ音源をそのままの音質で楽しむことができるものは限られますので別途USB-DAC機能を搭載した機材を用いることが望ましいです。

環境

現在PC用ソフトウェアとして無料有料を問わず、ハイレゾ音声を再生できるソフトウェアやコーデックパックが存在します。ウォークマンシリーズではMedia Goというソフトウェアを用いることによって機器の管理と音楽ライブラリと音源の再生を統合して行うことができます。iPodやiPhone、iPadのジュークボックスソフトウェアであるiTunesはファイル形式としてハイレゾ音源(ALACやAIFF)を扱うことができますが、iPodやiPhone、iPadに高音質のまま再生できる能力がないためiOSデバイスの場合は別途アプリやヘッドホンアンプを追加したりして楽しむことが一般的です。iTunesではハイレゾ形式として一般的なFLAC形式の再生をすることができないことが欠点です。

機材

今回アピールしているソニーよりもオンキヨーが先にハイレゾ音源を再生するための機材を発売していたりします。ハイクオリティーアンプからミニコンポ、そしてウォークマンやiPod等をはじめとするデジタルオーディオプレイヤー(DAP)、そしてPCによる再生が可能になっているためPC一台と対応したソフトウェアさえあれば基本的にハイレゾ音源の再生は問題なく行えます。

流通

高速通信インターネットの普及によってインターネット上からハイレゾ音源を購入してダウンロードすることによって容易に入手できるようになりました。e-onkyo musicや10月からハイレゾ提供開始したmora、OTOTOY等が日本での代表的なハイレゾ音源配信サイトと言えます。アップルが現状ではハイレゾ音源のダウンロード提供は行っていませんが、iTunes独自のマスタリング音源をダウンロードできるMastering for iTunesが存在し、CDを取り込んだ音とはあまり変わらないもののAppleデバイスで再生することに最適化された音源をダウンロードすることができます。

長くなってしまいましたが以上のように、「音」「環境」「機材」「流通」の4つが誰でも楽しめるところまで整ったことによって非常にハイレゾ音源を楽しむためのハードルが下がりました。

今回はそのウォークマンとしてハイレゾ音源に対応したZX1、F880シリーズが登場したことによってポータブルでも気軽に楽しめるようになりました。

今回の比較について

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ファイル形式や設定

  • ZX1については CD取り込みにおける無劣化可逆圧縮のFLAC(可変ビットレート)
  • Sシリーズについては FLAC形式からxrecode IIにて変換したmp3 256kbps(固定ビットレート)

以上のファイル形式となっています。ウォークマンに搭載されているイコライザーやDSEE HX、ダイナミックノーマライザ等はすべて無効にしています。Sシリーズがmp3 256bkpsとビットレートが低めなのは容量が8GBしかない為にビットレートを高くしてしまうと曲が入りきらなくなってしまう為です。

機材

比較試聴にはSONY MDR-1R(初代モデル)を利用。ケーブルは付属のもので、購入からは半年ほど経過したもの。このヘッドホンは低音寄りの傾向があります。
ZX1は標準のW.ミュージックを利用。音楽再生100時間以上経過後の試聴によるものです。
SシリーズはNW-S764 8GBモデル。

注意事項

音の感じ方に関しては個人差・環境差があります。管理人のMedia Goの音楽ライブラリからシャッフルして選定したものであり、元の音源の音質についてはバラつきがあります。以上を理解した上でご覧ください。

比較してみての感想

今回比較実験をするにあたって比較音源を48曲用意しました。
紋 / 雪華 / marshmallow justice(喜多村英梨
潮風のハーモニー(TARI TARI
My brave smile (リトルバスターズ
let's operation(Angel Beats!
春待ち風 / synchronicity(牧野由依
アドリアの海辺 / 逆漕ぎクイーン(ARIA
PHANTOM MINDS / 純潔パラドックス / vitalization / 理想論(水樹奈々
記憶の海(yozuca*
single line / Every morning(ef
風の中のプリムローズ(恋と選挙とチョコレート
starlog(Choucho
soldier game / ダイヤモンドプリンセスの憂鬱
僕らは今のなかで / WILD STARS
きっと青春が聞こえる / 輝夜の城で踊りたい
wonder zone / LONELIEST BABY(ラブライブ!
Anicca / 回レ!雪月花 / 夢見サンライズ(機巧少女は傷つかない
闇の彼方へ(Rewrite
コネクト / ルミナス / カラフル(魔法少女まどか☆マギカ
ポエジー / パリは燃えているか / ドテック / スクロール(加古隆
UNICORN(機動戦士ガンダムUC
檄!帝国華撃団 / ゲキテイ!(サクラ大戦
STAY CLOSE / all we that know(高橋幸宏
音楽 / love come down(Kalafina
Super noisy nova(スフィア
Tank!(カウボーイビバップ
緋色の空(灼眼のシャナ
アニソンが大多数を占めていていますが、非常に多彩の音楽を交互に聞いてみて1曲ずつ感想を書いてみましたが記事がとんでもなく長くなってしまう為に各曲ごとの感想は省かせていただきますが、全体的な感想は以下です。

ウォークマンSシリーズは全体的にフラットのように思えてZX1と比べてみると低音が強調気味に感じられました。対してZX1に関しては低音が強調されずに、でもしっかりとした芯のある低音が出ています。曲の終わりにフェードアウトするような音楽に関してはSシリーズよりZX1が余韻が長く感じられます。(長いと感じてしまうのは非常にスムーズにフェードアウトしていると感じていると思われるため)

どのような音楽が向いているかと言われると結構難しいものですが、打ち込み曲の表現も悪くはないですがやはり生音で録音された音声と言えます。高音が丁寧に演奏されているものではSシリーズとの比較で良く分かる部分ではありますし、低音に関していえばSシリーズでは芯が強くないと思われたものもZX1では芯の強いはっきりとした低音が鳴っていることがわかります。音の分解に関してはZX1のほうが少しボーカルが引っ込んでいる感じで裏で流れている音楽が聞き取りやすいと言えます。

ZX1ではOS-CON等電源関連の切り替えなのかはわかりませんが、ヘッドホン接続時に音楽が再生開始されると「プシュー」とした小さな音が鳴ってから音楽が鳴り始めます。ですので、冒頭0秒から音楽が含まれている楽曲は最初の一部分が少し切れて再生開始されることがあります。また、音楽を止めている場合でも切り替え終了時に同じような小さな音が鳴ります。バッテリー消費を抑えるためにこのような処理をしているものとは思いますが、ソフトウェアアップデート等で切り替えが行われていないということが分かる場合は再生ボタンを押してから再生開始されるまでに少しラグを追加したほうが良いのではないかと思います。

ヘッドホン接続時のノイズに関しては今までのS-MasterまたはS-Master MX搭載機種より削減されていて、殆ど気になりませんし、ノイズキャンセリングが備わっていないため俗にポッポ音と呼ばれるノイズは無いと思われます。

DSEE HX有効時の音質に関してはやはり高音部分がきれいに再生できることはわかりますが、低音部分に関してはほとんど変化がないと思います。全ファイルFLAC形式だと大差ないので有効にしなくても良いかなと思います。中に入っているファイルにmp3 192kbps以下のファイルがあれば差がはっきり分かるものになるものと思います。

ヘッドホン直差し以外でPHA-1とのアナログ接続も試みてみましたが、やはり高音や解像度に関してはアナログアンプを搭載するPHA-1のほうが上ですが、ZX1は低音がヘッドホンアンプ並に優れていると思いますので普段はZX1単体による運用で問題ないと思われますが、インピーダンスが250Ωを超えるものや、音圧感度が100dbを下回るものに関してはZX1単体では駆動能力が不十分なので、ヘッドホンアンプ無しでどんな環境でも使えるといったレベルまでは行っていないと言えるでしょう。

Media Goに物申す

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1番目がMedia GoにてFLAC化したファイル、2番目が元のwavファイルになります。BPSの欄を見ると、Media GoでFLAC化したファイルが16bitになってしまっています。24bitのwavファイルを読み込んでMedia Goで変換したものをウォークマン ZX1に転送してみるとハイレゾを現す「HR」マークが表示されなかったので疑問に思って調べてみたところ、Media Goには24bitのファイルを読み込んで変換させると16bitにビット数がCD相当に下がってしまうことが判明しました。

ソニーは自らハイレゾ形式のアピールをしていますし、この仕様は一体どういうことなのでしょうか?旧製品への対応度を上げるにあたり間違って全ファイルを16bitで変換する仕組みにしてしまったのかは分かりませんが、まさかソニー純正のソフトウェアでこんな事が起こるとは思ってもいませんでした。早急にアップデートでの修正をしていただきたいと思います。Media Goに関してもう一つ、自動同期のみではなく手動同期も用意してください。転送による同期は可能ですがファイル情報の修正がたまに反映されていない時があります。

ZX1についてのまとめ

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ウォークマンは来年で35周年を迎えます。海外では35周年モデルがこのZX1となる予定のようです。カセットから始まりCD(初期はディスクマン)、MD、メモリースティック、HDD、として現在の内蔵メモリータイプに至るまで数多くのウォークマンが誕生しました。現在においてはAppleのiPodが世界的にシェアが高くなっていますが、日本ではウォークマンがiPodのシェアを逆転させるといったことも起きています(単にiPhoneで音楽を聞くことになってしまったことも少なからず関係しているとは思います)。

ウォークマンは基本的に音楽再生に特化して進化してきました。現在では上位モデルはAndroidが搭載されていますが、何とこのウォークマン ZX1やF880シリーズでは全ての音声をAndroidの音声システムを使わずにウォークマン独自の音声システムによって再生可能にしていて、Android機だから音が悪いというイメージを過去の物にしています。(つまりどの音声にもイコライザーやDSEE HXが適用できます)こういった飽くなき高音質への追求をこの機種で終わらせずに行ってほしいものと思います。

平井体制になったソニーからこれからも次々と面白いソニー製品が生まれてくることも期待したいと思いますし、ZX1に関して言えば是非ともソニーウェブサイトで公開されているインタビュー記事やハイレゾ解説サイトをお読みいただいてソニーの本気度を知っていただきたいと思います。

ZX1かF880かで悩んでいる方に関して一つ言っておきたいことは、どのような用途に使いたいのでしょうか?という事です。Wi-Fi機能によってAndroid端末として使いたいと思っていたり、常にBluetoothに繋いで音楽を聞くといった機種ではありません。この製品はヘッドホンを有線で直接接続し、高音質のソースをそのまま持ち歩いて聞くために用意されたものであり、容量的に不満がなければ普通に音楽を楽しむためであればF880で十分です。F880でも最大64GBありますし、こだわりのある方でなければZX1を無理に選ぶ必要はないと感じます。

ZX1を買われる方へは、この製品はヘッドホンが付属していないため自身で用意する必要があります。ソニーは40,000Hz以上の再生周波数帯域を持ったヘッドホンをハイレゾ対応としていますが、25,000Hz以上あればそれ以上は人間が聞き取ることができる音声以上の能力がありますので殆ど問題ないです。

以上色々と書いていきましたが、ウォークマン ZX1はソニーのポータブルオーディオ、ウォークマンシリーズの高音質追求への一つの集大成モデルと言えます。ハイレゾ音質がどこまで普及していけるかは未知数ですがまずは一番気軽に始められるPCから体験していただき、ZX1の凄さに触れてもらえればより一層感動できる音楽体験をすることができると思います。


NW-ZX1 | ポータブルオーディオプレーヤー “ウォークマン” | ソニー

http://www.sony.jp/walkman/products/NW-ZX1/

では、takimuraでした。